世立八滝の「仙の滝」から始まる草津滝巡りの旅。その1日目の最後に向かったのが『嫗仙(おうせん)の滝』です。この周辺の滝では一際大きなサイズと独特さを持つ草津のラスボス的な滝。
赤茶けた岩と黒い岩が周囲を包み込むようにし、ぼっかりと空いた大穴と数条の白糸のような流水の姿に毒々しい昆虫や両生類が持つ不気味さを重ねずにはいられません。
ただラスボスだけあってそう簡単に出会うことはできません。行き帰りに急な登り降りが立ちはだかってくるためです。zunが世立八滝の「段々の滝」には行かずに体力を残しておくように言ったのはこのためです。。。
段々の滝について -> 大仙(おおせん)の滝(群馬県吾妻郡中之条町)- 近くて遠い、そんな滝
駐車場までのアクセス
草津温泉の市街地から15分ほど車を走らせると森の中に20台ほどスペースがある駐車場が見えてきます。嫗仙の滝はここからスタートです。
ゲートは無かったのでいつでも出入りできると思いますが、残念ながらトイレはありません。。。ここから滝まで行きで25分、帰りに35分ほどとちょっとしたハイキングになるので用は済ませてから来ましょう。
案内看板滝までの道のり
駐車場から滝までの道は階段や手すりがありません。今回は5月に訪れましたが、足元が落ち葉で覆われ、傾斜の急な道を歩くので軽登山用シューズなんかがあればいいと思います。
自治体もそういう事情を考慮してくれてるのか自由に使えるストックが置いてありました!これが非常に役に立ったので足腰が不安な人は絶対に使ったほうがいいです。
きちんと準備ができたら「嫗仙の滝」に出発です。
滝までの道のりは踏み固められた土道に落ち葉が混じり足元が少し不安定です。道中倒木に遭遇したり、急斜面沿いの道を歩かされたりとハラハラする場面がありました。(ストックがあって本当に良かったので、これを機に自分で用意しておこう。。。)
小雨川までたどり着いたらまずは一安心。左の写真のように少し離れていますが川のほとりから滝を見ることはできます。
さらに近づきたい人もいるでしょう。そんな人は川沿いを歩いて「嫗仙の滝」に近づく必要があります。川沿いと言ってもほとんど川の中を歩くので、防水シューズで進むかアクアシューズに履き替えるのをおすすめします。(zunはローカットのゴアテックスシューズを履いて川の中をざぶざぶと歩いて行きました)
少し余談なのですが、草津周辺の川は周辺の山々が硫黄を含み、そこを水源としている川は強い酸性を示しています。こういった川は生物が住むことができず、農業にも適さない「死の川」となっています。それに対処するため戦後の早い時期から酸性の川を中和する事業が国土交通省の手で24時間365日で行われています。https://www.ktr.mlit.go.jp/sinaki/sinaki00017.html
旅の道中、中性化を行っているダムも巡りましたが、日頃考え無しに有り難がっている温泉にはこういったの負の面があることを気付かされました。
そしてこの小雨川も強い酸性を示していて、川底の岩に鉄が付着しそれが赤茶けて見えます。絵面は神秘的なのですが、この自然と戦っている人がいるのはすごく興味深かったです。
嫗仙の滝
川を少し進むと嫗仙の滝の全容がよりはっきり見えてきます。
中心に直瀑+滑滝があり、それを囲むようにいくつもの滑滝で構成されています。全体のサイズから見ると滝の流れは優しいので、これが「女性的」と言われる所以なのかもしれません。(zunは赤茶色と黒の岩肌、勢いよく流れ落ちる数条の滝とぽっかり空いた空洞の合わさったその姿に蛾の翅をイメージしました)
これまで見たどの滝とも似つかない姿で、実際に目の前にすると5月の新緑と相まって熱帯のジャングルか、はたまた異世界にでも迷い込んだかのような錯覚を起こしてしまいました。どういうプロセスを経てこういった地形が形成されるのか見当もつきませんが、長い時間をかけて作られたことだけはなんとなく理解できました。。。
滝のサイズからすると滝壺は小ぢんまりとしてます。水の勢いがないからでしょうか。
振り返ってみると嫗仙の滝は草津の滝巡りを締めくくるにふさわしい滝だったと思います。草津の自然が作る想像を超えた光景を体験でき、かたや温泉街として陽の面と酸性の川が持つ陰の面、自然が人間に与えるのは恵みだけは無いなとしみじみと感じました。
この後は軽井沢・榛名山の滝に攻める予定です。それではまた!
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